自分の部屋で悶々としながら、私は土方さんの帰りを待ち続けた。
しかし、辺りが暗くなっても、土方さんは帰ってこない。
部屋から出て、夕餉の準備をする。
当番の沖田さんは人参を切りながら、私の方を向いた。
切られた人参の大きさはバラバラだ。
「今日は土方さん遅くなるんじゃないかな」
「えっ、どうしてですか?」
「僕の勘だけど、明日は特別な来客もないし、、昨日土方さんの机見たら、あらかた急ぎの仕事は終わってるみたいだし…」
「の、覗いたんですか?」
「見えたんだよ、たまたまね」
悪びれもせず、沖田さんがにっこり笑う。
「………」
「とにかく、花街にでも行ってるんじゃないかな。土方さんに思いを寄せてる女なんて数え切れない程いるからね」
「………」
味噌汁を作りながら、味見をする。
味が……わからない。
沖田さんの言う通り、土方さんは花街に行ってしまったんだろうか…
頭がそのことでいっぱいになってしまい、立ち尽くしていると、頭になにかが触れる。
「…ごめんね。いじめすぎちゃったかな」
沖田さんの手のひらが私の頭を優しく撫でていた。
夕餉を運び終えると、私は屯所の門の前まで行き、石畳に腰掛けた。
外は冷えてきていて、少し寒い。
土方さん……早く帰ってきて…
