「…あ…」

顔を隠していた片方の掌を掴まれる。


「どうした、千鶴」


「…あっ、だめ…」

もう片方の手も掴まれ、完全に泣き顔を見られてしまい、私はパニックになった。


「千鶴、」

突然、柔らかい感触が唇に伝わる。


口づけされていると分かった時には、唇を割られ、舌を吸われていた。


「ん……っ」


何度も舌を絡ませ合いながら、土方さんの手が私の着物の肩をはだけさせる。しかし、すぐに唇は離れた。


「……悪い」


「え……」


「泣かせた上に、無理矢理…最低だな…ったく、何やってんだ俺は」


土方さんは私の着物を丁寧に直すと、部屋を出ていった。


置いてけぼりをくらったような気持ちで、私はその場に座り込んだ。