父さまを探す為、新選組の皆さんの巡察に同行させてもらうことになった私は急いで身支度を整えた。

…と言っても、何度か同行させてもらってはいるが父さまには会えていないし、情報も全く入ってきていない。

腰に差した小太刀をぎゅっと握りしめる。

父さま……どうか無事でいて…


「千鶴、ちょっといいか」

襖に人影が映る。

私は小太刀から手を離し、襖の向こう側へ返事をした。


「…土方さん、どうぞ」


「ああ…今日は一番組が巡察なんだが大丈夫か?」


「あっ、はい!もちろんです。よろしくお願いいたします」


私が頭を下げると、土方さんはくくっと小さく笑う。

土方さんは、以前より笑ってくれたり、優しい顔をしてくれるようになった気がする。

私が新選組にお世話になり始めた当初は、ずっと眉間に皺を寄せていたし、私の存在は土方さん、新選組にとって迷惑なものだと分かる程、土方さんの雰囲気はピリピリしていた。

「…何かあったら総司に言え」

「はい」


「はぐれるんじゃねえぞ、街の人に話を聞きてえ時は必ず1人隊士を連れていけ。あと……」


「あ、あの土方さん…ちゃんとはぐれないようにしますし、土方さんのおっしゃる通りにします」


「……ああ、悪い。過保護だったな。お前は危なかっしい所があるからつい…」


少し気まずそうに視線を外す土方さんを、真っ直ぐ見つめる。


「……」


「…新八が言ってたな、お前は妹みたいだって。今ならその気持ちが少し分かる」


「……妹、ですか」


胸がズキンと痛んだ。


いつからだろう、、私は欲張りになっていたのかもしれない。

土方さんに優しくされる度、子供扱いしてほしくないけど、優しくしてもらえて嬉しい、妹みたいと言われることも、嬉しい気持ち半面、寂しい…


「……千鶴?」


「…あ、」


涙が溢れそうになり、私は慌てて掌で顔を隠した。

こんなことで土方さんを困らせちゃだめ……

なにより、急に泣き出して土方さんに幻滅されたくない…


「…おい、なんで顔を隠すんだ」