「はぁ……」




窓から見える月を眺める




自分の部屋なのにそわそわして落ち着かない
お風呂でぼーっとしすぎて逆上せたり、角で小指ぶつけたり



………原因は分かってる


帰り際の、あの一連が何度も何度も繰り返される



思い出しては胸がギュッとなり振り払う


いつもの重みがない頭をかきあげ、窓に映る自分の姿を見る




顔の大半を隠すほど長い前髪を指でさっと流す


ミルクティー色のショートカット
男だと言ってもバレないだろう
だから、このぐらいにした


髪の長い綺麗な華織とは似ても似つかない
もちろん、あの真っ黒な髪も





双子だけど、双子じゃない
華織と私は住む世界が違う



今日は華織のとこに入りすぎた



「あそこは私の居場所じゃない」