1番遠い場所で綺麗に食べているほとんど見えない横顔
ひとつひとつの動作に目が奪われる
「湊たちのスーツ姿かっこいいんだろうな!」
その隣の華織に意識を戻しつつも、視界の隅に気が逸れそうになる
「湊は特にああいう場嫌いだもんね?僕は家があれだからそういうの結構多いし、たまに行くけど」
「遥希は新作着て行かされるんだろ?」
「そうだよ。息子だから手っ取り早いって、まぁ、そんなに嫌いじゃないからいいけどー」
遥希と陽向の会話を聞きながら、初めて参加したパーティーを思い出す
あれはまだ小学生の頃
親父の横についてって色んな人に挨拶に回る
その度にいい年した大人が、俺みたいなガキにまで頭を下げ、機嫌をとろうとする
さらに中学になった頃には、女たちが俺を囲むようになった
競い合ってるかのような露出度の高いドレスに、匂いのキツい香水
女たちが寄ってきては、話しかけてくるのを断る
その行為が永遠に続き、行く意味がないと思った俺はパーティーに行かなくなった
悠たちも同じような感じで遥希以外は滅多に出てない
「華織のためと思って我慢だなー…」
隣の悠からボソッと聞こえる声に同感する


