「うわ!」
「きゃあ!」

私達は同時に声を上げていた。

「…しまった」

尚志はしばらく下を向いていたけど、ふと、我に返ってお金を数えた。

「ごめん、私が変なタイミングで言ったから…」

私は落とした分の金額を払おうとしたら

「いえ、こちらのミスなんで、結構ですよ」

はにかみながら笑うところは昔とは変わっていなかった。

配達証を書留カバンに入れると尚志は営業用の顔をやめて、少し緊張を緩めた顔になってこう言った。

「久しぶり、元気?」