「にーさん、付き合わないの〜?」

日付は26日の昼休み。

食堂でぽっくんと環と班長の4人で食事をしていた。

「…うん、多分」

「え〜、チャンスだよ、これって」

ぽっくんは箸を置いて真剣に俺を見つめた。

「前はお互い相手がいたからでしょ?
今回はフリーなのにぃ」

「…そうだね」

ぽっくんは歯痒そうに箸で厚焼き卵を突いている。

「この世で会えなくなったら来世ではもっと早くに会いたいって思った人なのに?」

ぽっくんのその発言に班長こと、松田 亮がお茶を噴いた。

「ご…ごめん」

班長は片手を上げて謝る。

「…しかし、お前。
そこまで好きだったの?」

今度は班長から質問が。

ああ、面倒。

俺は頭をかいた。



「そうですね…
出会った当初はお互い、反発していましたけど、段々感覚が合う事がわかって。
いつの間にか彼女よりも好きになっていたと思います」



でも。

お互いに相手がいたから。



だからあの時。

そう言って。

そして10年後、また出会った。



出会ったのはいいけれど。

心のタイミングが今度は合わない。

「今のままじゃ」

俺が口を開くと3人は一斉に俺を見つめた。

「俺の精神が壊れそうで。
壊れてしまったら、俺以上に傷つくのは、有野さんなんだ」