「優しーいねー」

アカリはニヤニヤしながら私達を見ていた。

「あのなあ、さすがに防寒着がないと寒いよ、今の時期」

尚志はアカリの額を人差し指で突いた。

「尚志と同い年ということはオレとも同い年だな。
塩野 環です、ヨロシク」

環はニッと笑った。

私も笑って頭を下げる。



顔を上げると、アカリが少し不安げに私を見ていた。

そして、すぐに環の様子を伺っていて。



…ひょっとして。

私はピーンときて、防寒着を尚志に返す時に

「井上さんって、ひょっとして塩野さんが好きなの?」

と、聞くと尚志はビクッとして

「なんで?
わかる?普通の人はぽっくんの好きな人は俺だと勘違いするけど?」

私は苦笑いをした。

「わかるわよ。彼女、男の子みたいだけど、中身は完璧な女の子だよ」

「…女の勘って怖いね」

私達は顔を見合わせて笑った。