「先輩の演奏は圧倒的でした。本当に、透明で、綺麗で。」 言葉で表しても表しきれない先輩の演奏。 とにかく、美しかった。 「神白の演奏は本当にすごいんだよ。人一倍緊張しまくる神白だけど、やるときやるから大丈夫。」 「僕も、先輩みたいになりたいです。」 先生は少し驚いた顔をして、優しく微笑んだ。 「五十嵐君、一つだけ伝えておこう。」 『神白に聞けることは今のうちに聞いておきなさい、いつ会えなくなるかわからないから。』 この時の先生の言葉を、僕は疑いもせずに引退、卒業のことだと思っていた。