初めてのコンクール曲合奏参加日。

大丈夫、何度も先輩とパート練習もした。

顧問の東屋先生が指揮を振る。

日音先輩のピッコロから始まるさくらのうた。

......。あれ、僕、どこから入るんだっけ、どんな吹き方だっけ、どうやって実里先輩にあわせたらいいんだっけ。

わからない、わからない、わからない。

全部わからない。

頭の中、真っ白だ。

気が付くと日音先輩のソロ。

我に返る。

『つ、ぎ、は、こ、こ。』

ソロを吹き終えて、持ち替えた直後、日音先輩の指が楽譜に触れる。