「……うん。上手だよ……可愛い絵柄だね……そうだね。1つだけアドバイスをするとしたら……視線誘導を考えた方がいいかも」

「……視線誘導……聞いたことあるな……こう聞いてると、難しいね」

「そうだね……でも、描くのは楽しいよ……実は僕、諦めてたんだよ。イラストレーターの夢」

「え?」

僕の言葉に、皆は反応する。僕の脳裏に映るのは、皆と出会った日のこと。

「でもね、僕の絵を『好きだ』って言ってくれる人がいて……僕、その時思ったんだ。もう一度、イラストレーター目指したいって……皆を惹き付けられるようなイラストを描けるようになりたいって……」

「……」

「皆、色々と絵を描く理由があると思うけど……僕は、イラストで皆の役に立てたら良いなって理由で描いてるんだ」

僕は、そう言って笑った。

「……皆、話してるとこ悪いけど……そろそろ元の世界へ帰さないと……」

そう言って入ってきたのは、陽彩さん。

「……もうそんな時間なんだ」

僕の言葉に、陽彩さんは「うん」と頷く。陽彩さんは、大きな魔法円を床に描いた。

「……もう、皆とお別れか……楽しかったよ。また、会えるといいね」

僕が笑うと、春陽とカレンさんとフリージアさんは同時に頷く。

次の瞬間、僕の目の前は光に包まれた。