「……とりあえず、時間が無いから簡単に歴史を教えるよ……魔法を使いながらね」

そう言った先生は、パチンを指を弾く。次の瞬間、先生の隣に壁に描かれた絵が映った。

映されている絵は、動物ばかり。

「人類が絵を描き始めたのは、今から約4万年前だと言われている。今映ってるこの絵は、すべて洞窟に描かれている絵だよ」

「……どうして、動物ばかり描かれているんですか?」

僕は、純粋に疑問に思ったことを質問する。

「いい質問だね。当時の人は、獲物を狩れるように、お祈りとして描いたそうなんだ……メソポタミア文明になると、こういう絵が描かれるようになる」

映されていた絵が変わって、横を向いている人の絵になった。

「これは、古代のエジプトが描いたものだよ。メソポタミア文明になると、来世思想というものが生まれたんだ」

「来世思想……?」

春陽が先生の言葉に、首を傾げる。辺りを見渡してみると、フリージアさんもカレンさんも同じように首を傾げていた。

「……古代の人も、来世があると思っていたんですね」

僕が理解したことを言うと、先生は頷く。

「そういうこと。古代の人は、今の人々よりも来世の存在を信じていたんだ。だから、古代の人は死んでから迷わないように、簡略化して描いたと言われている」