先生の車は、海沿いの道を走っていた。



「どこまで行くの?」


「星野が前に行きたいって言ってたとこ」


「海?」


「あぁ」



覚えててくれたの?


先生、絶対に忘れてると思ってた。



先生は車を海の近くの駐車場にとめた。


そこから歩いて浜辺まで行った。


誰もいない海…。


波の音だけが静かに聞こえる。


夜空には丸い月が出ていた。