先生の車が、マンションの前にとまった。



「ありがとう」



私は、先生にお礼を言って、車から降りた。



「あぁ…。じゃーな」



先生が助手席の窓を開けて言った。



これで…お別れかぁ…。


次は、冬休み明けに、学校で何事もなかったかのように会うんだよね…。


イヤだよ…。


先生?


先生と離れたくないよ…。


私…。


私…先生のことが好きになっちゃったよ。


性格最低男のあなたを好きになっちゃったよ…。


先生…。


帰らないで…。



「先生?」



私は、中腰になって助手席の窓から先生を呼んだ。



「ん?」


「うちに…寄って…行かない?」


「はぁ?」



先生が目を大きく開けてビックリしてる。



「今日のお礼に…コーヒーでもどうかな?と思って…」



先生は私の方を見たまま黙っていた。



「迷惑…だよね?ゴメンね」



私は笑いながら明るく言った。



「じゃーね。先生」



私が、マンションの方を向いた時…。



「なぁ!」



と、先生が声を掛けた。



「何?」



振り向いて先生の顔を見る。



「車…どこ置いたらいい?」



先生が笑顔で言ってきた。