学園怪談

 私たちは昇降口で2人、正確には背中の赤ちゃんもいれて3人を見送った。
「あの子、大丈夫かな? 本当に幽霊がとり憑いてたりして」
「ふむ……定期的に行方不明になる少女に、連れ去る幽霊か……」
「お、小松っちゃん、気になるのかな?」
「うん……ちょっとね」
「じゃあ調べてみようよ! 陽子ちゃんのためにもさ!」
「よし、まかせろ! 僕が絶対に解決してみせる。ばっちゃんの名にかけて」
 私は小松っちゃんのお婆さん……昭和初期に生きた伝説のストリッパーの事を思い出していた。
 私たちはまず、事件のあった金庫を調べに来た。この金庫は特にお金が入っているわけではなく、学園の機密に関する書類が入っているそうである。
「学園長、何かなくなった書類とかはありませんか?」
「いや、女の子が入ったから、しわくちゃになった書類はあるが、なくなったものはないね」
「特にキズはない……か」
 私が学園長に問いかけている間、小松っちゃんは金庫の中をジット覗き込んで考え事をしていた。
「よし、次のデパートに行って話を聞いてみよう」
「あ、うん。もういいの小松っちゃん?」
 私たちは陽子ちゃんがいなくなったというデパートへと向かった。
 ……デパートにつくと、私たちはお客様担当課の課長さんに話を聞いた。
「ええ、女の子がいなくなったと聞いて、本当に肝を潰しましたよ。女の子が見つかった動力室は出入り口が搬入した荷物で塞がってしまっていて、子どもが一人通れる位の隙間しか空いていなかったんです。大人が連れ込める訳ないはずなんですが……」
 そこまで話を聞いて、私は悩んでしまった。陽子ちゃんが学園長室で発見されたとき、部屋は中からカギが掛かっていた。つまり密室だ。
デパートの件でも彼女の入り込んだ所は大人の入り込める隙間じゃなかった。
「小松っちゃん。これじゃあ犯人はやっぱり幽霊ってことになっちゃうよ」
 小松っちゃんは一瞬考えたようだが、きっぱりと言った。
「謎は全て解けた!」
「え! 早いな小松っちゃん!」
 ……私たちは陽子ちゃんの家へと足を運んだ。