第13話 『小松少年の事件簿~その1、どざえもんは語る~』 語り手 石田徹
次の話は徹さんだ。徹さんはさっきから皆の前でパントマイムのように無言で動き回っている。
「お、飛び込んだ。泳いでる泳いでる」
「あ、クロールに失敗してる。大量に水を飲んでるぞ」
「あ~、溺れてるよ」
能勢さんたちが面白おかしく反応するので、徹さんの芸は止まらない。
「あの~、徹さん?」
私はいてもたってもいられず、目の前で水死体のマネを始めた徹さんに声をかけた。
「ぼく、ドザえもん~!」
みんなは渾身のギャグに必死に笑い転げている。
……まったくこの人は、怪談をする気があるのだろうか?
「いや~ごめんごめん。今回の話はこの、ドザえもん。つまりは水死体に関係があるんだよ」
ようやく立ち上がった徹さんは話し始めた。
……水死体のことを『どざえもん』っていうのは知ってるかな? 見たことあるかい? 僕はね、一度だけ……見たことがあるんだよ。それも校内でなんだよ。
僕が1年の夏、学園のプールで同じクラスの男子生徒が溺れた。彼はなんとか助け出されて何ともなかったんだけどね、その後の発言が変だったんだ。
「誰かに足を捕まれた! 危なく溺れ死ぬところだった!」
ってね。
確かに変だった。この学園のプールは深いところでも1メートル50センチだ。彼は背が高くて170センチはある長身だったから、普通に立てば水から顔を出すことが出来るはずだった。それに彼は水泳部で泳ぎも達者な方だ。
俺は彼をあまりよくは知らないけど、確かに授業なんかで見てる限りじゃ泳ぎは相当うまい方だったよ。それに、この学園の水泳部は超名門で、水泳部の生徒達は将来オリンピックを目指すほどの選手たちばかりだ。実際、親が水泳選手でこの学園の出身という生徒もたまにいる。そんな彼が溺れるなんておかしい……。
……そこで、俺と友人の小松は、この謎を解き明かすべく立ち上がった訳だ。
「小松っちゃん、絶対に俺達の力でこの謎を解き明かすんだ」
「よし、まかせろ! 僕が絶対に解決してみせる。じっちゃんの名にかけて」
俺は小松っちゃんのじいちゃん……75歳という歳で梅毒で亡くなったじいちゃんのことを思い出していた……。
次の話は徹さんだ。徹さんはさっきから皆の前でパントマイムのように無言で動き回っている。
「お、飛び込んだ。泳いでる泳いでる」
「あ、クロールに失敗してる。大量に水を飲んでるぞ」
「あ~、溺れてるよ」
能勢さんたちが面白おかしく反応するので、徹さんの芸は止まらない。
「あの~、徹さん?」
私はいてもたってもいられず、目の前で水死体のマネを始めた徹さんに声をかけた。
「ぼく、ドザえもん~!」
みんなは渾身のギャグに必死に笑い転げている。
……まったくこの人は、怪談をする気があるのだろうか?
「いや~ごめんごめん。今回の話はこの、ドザえもん。つまりは水死体に関係があるんだよ」
ようやく立ち上がった徹さんは話し始めた。
……水死体のことを『どざえもん』っていうのは知ってるかな? 見たことあるかい? 僕はね、一度だけ……見たことがあるんだよ。それも校内でなんだよ。
僕が1年の夏、学園のプールで同じクラスの男子生徒が溺れた。彼はなんとか助け出されて何ともなかったんだけどね、その後の発言が変だったんだ。
「誰かに足を捕まれた! 危なく溺れ死ぬところだった!」
ってね。
確かに変だった。この学園のプールは深いところでも1メートル50センチだ。彼は背が高くて170センチはある長身だったから、普通に立てば水から顔を出すことが出来るはずだった。それに彼は水泳部で泳ぎも達者な方だ。
俺は彼をあまりよくは知らないけど、確かに授業なんかで見てる限りじゃ泳ぎは相当うまい方だったよ。それに、この学園の水泳部は超名門で、水泳部の生徒達は将来オリンピックを目指すほどの選手たちばかりだ。実際、親が水泳選手でこの学園の出身という生徒もたまにいる。そんな彼が溺れるなんておかしい……。
……そこで、俺と友人の小松は、この謎を解き明かすべく立ち上がった訳だ。
「小松っちゃん、絶対に俺達の力でこの謎を解き明かすんだ」
「よし、まかせろ! 僕が絶対に解決してみせる。じっちゃんの名にかけて」
俺は小松っちゃんのじいちゃん……75歳という歳で梅毒で亡くなったじいちゃんのことを思い出していた……。

