学園怪談

「ちょうどよかった、ジュース1本買わない? 例のやつが出るまでに5本も違うのを買っちゃって」
 見ると、もっていたカバンにはウーロン茶やオレンジジュースなどが入っていた。
「えー、コレのためにこんなに買ったの?」
 アタシは信じられない思いで、カバンの中からオレンジジュースを取り出して、彼女にお金を払った。
「まいどあり!」
「ねえ、コンビにとかで探すとか、あるいはここの業者に問い合わせてみるとかしてみたら? 無駄なものまでいっぱい買っちゃうじゃん」
「いや~、探したんだけど見つからなくて。やっぱどこにも売ってない特別なジュースなんだよきっと。それに自動販売機には何の連絡先もないしさ、いつ業者の人が入れてるのかもわかんないんだもん」
 その場で彼女と別れ、残りの休み期間は彼女に会わなかった。
 ……次の練習日、彼女は練習が終わると皆にジュースを買わないか? と尋ね、自らジュースの買い物役をかって出た。
「えー、こんなに大きいサイズじゃなくていいのに」
「あれ~、頼んだお茶と違うじゃん」
「ごめんね~。まあまあ、値段は同じだし、量も多いから許してよ」 
アタシは分かっていた。友達に渡したジュースは全て例のジュースを買うために費やしたもののハズレだったことを。
……彼女がジュースを飲む量が日に日に増えていることがわかった。初めは2~3日に1本くらいのペースだったのが、最近では1日に2、3本は飲んでいる。
「大丈夫なの? そんなに飲んだら体にも悪いんじゃないの?」
 ここ数日のうちに、彼女は少し太ってしまったように見えた。
「平気だって。なんだか飲まずにはいられない刺激が襲ってくるんだよね~。でもね、そんな時に飲む快感が本当にたまらないの!」
 それからも、日に日に彼女のジュースの量は増えていった。