第12話 『自動販売機』 語り手 赤羽加奈子
ガラガラガラ。
「なんだ、赤羽先生だったのか~」
紫乃さんが肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
「なんだはないでしょ小野田さん。何だか面白い話をしているって聞いたから、ちょっと様子を見に来たのよ」
そこにいたのは赤羽先生という数学担当の女の先生だ。赤羽先生はここの卒業生であり、まだこの学園に赴任してきて3年目という非常に若い美人教師だ。
「先生、脅かさないでくださいよ」
「何だか楽しそうな感じになってるじゃな~い? よーし、ここは飛び入りでアタシが1つ話してやるとするか」
突然やってきた先生が次の怪談を話してくれることになった。
「じゃあ、よろしくお願いします」
……さて、学園の怪談ってことだけど、何も学園の中ばかりに怖いことっていうのは起こるわけじゃあないよ。たとえば……そうね、学園の校門の側にはジュースの自動販売機があるよね、あれなんだけど変わったものが売られているのを知ってるよね?
そうそう、あのボタンだよ。スポーツドリンクやお茶、ジュースに混じって一つだけ『お楽しみ』っていうボタンがあるじゃない? ごくたま~に見かける何が出るか分からないってやつね。あれはアタシが学園に通っていた頃からあるの。だからかれこれ……10年くらい前からあるのかな? さて、アタシの当時の話をするね。
「加奈子~、一緒に帰ろうよ」
「うん。ちょっと待って久美ちゃん」
当時、アタシはバレーボール部に所属していて、他の女子部員たちと仲良く青春を謳歌していた。
夏休み。真夏の炎天下の中、バレー部の体育館は蒸し風呂のような暑さで、練習を終えて着替えるころには用意した水筒のお茶なんてとっくに飲み尽くしてしまっていた。
「あ、のど渇いたね、なんか飲まない?」
校門を出るとき、校門脇にある自動販売機を指差して久美ちゃんが声をかけてきた。バレー部の中でもとりわけ仲が良かったのは、この橋本久美ちゃんという同じ2年生の女の子だった。とても痩せている子なんだけど、明るくて楽しい性格から、みんなに凄く好かれる子だった。
ガラガラガラ。
「なんだ、赤羽先生だったのか~」
紫乃さんが肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
「なんだはないでしょ小野田さん。何だか面白い話をしているって聞いたから、ちょっと様子を見に来たのよ」
そこにいたのは赤羽先生という数学担当の女の先生だ。赤羽先生はここの卒業生であり、まだこの学園に赴任してきて3年目という非常に若い美人教師だ。
「先生、脅かさないでくださいよ」
「何だか楽しそうな感じになってるじゃな~い? よーし、ここは飛び入りでアタシが1つ話してやるとするか」
突然やってきた先生が次の怪談を話してくれることになった。
「じゃあ、よろしくお願いします」
……さて、学園の怪談ってことだけど、何も学園の中ばかりに怖いことっていうのは起こるわけじゃあないよ。たとえば……そうね、学園の校門の側にはジュースの自動販売機があるよね、あれなんだけど変わったものが売られているのを知ってるよね?
そうそう、あのボタンだよ。スポーツドリンクやお茶、ジュースに混じって一つだけ『お楽しみ』っていうボタンがあるじゃない? ごくたま~に見かける何が出るか分からないってやつね。あれはアタシが学園に通っていた頃からあるの。だからかれこれ……10年くらい前からあるのかな? さて、アタシの当時の話をするね。
「加奈子~、一緒に帰ろうよ」
「うん。ちょっと待って久美ちゃん」
当時、アタシはバレーボール部に所属していて、他の女子部員たちと仲良く青春を謳歌していた。
夏休み。真夏の炎天下の中、バレー部の体育館は蒸し風呂のような暑さで、練習を終えて着替えるころには用意した水筒のお茶なんてとっくに飲み尽くしてしまっていた。
「あ、のど渇いたね、なんか飲まない?」
校門を出るとき、校門脇にある自動販売機を指差して久美ちゃんが声をかけてきた。バレー部の中でもとりわけ仲が良かったのは、この橋本久美ちゃんという同じ2年生の女の子だった。とても痩せている子なんだけど、明るくて楽しい性格から、みんなに凄く好かれる子だった。

