学園怪談

『……俺はしばらく嫌な感覚を腹の辺りに覚えた。くそ、あの幽霊やろうめ、でも生憎俺は元気だ、意識もちゃんとある。大丈夫だ。
目を開けた。まだ夜らしく、校舎内は暗い。
くそ、鈴木の奴をまずはどうしてくれようか? アイツのせいで俺はこんな体になってしまったんだ。
 何とか気持ちを奮い立たせて歩くが、いつもより足が重い気がする。歩くスピードが非常に遅く感じられる。
 くそ、早く何か喰わないと。腹が減って力が出ないぜ。
 気づくと目の前に誰か2人ほど立っていた。学園内で見かけたことのある生徒だ。
何かこちらを興味深そうに窺う顔、それから驚いたような間抜け面だ。鈴木ではない。まあ、誰でもいい。とにかく俺は腹が減って仕方がない。
ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ。
俺は食べるために歩き出した……』

 ……。
「翌日、網の中でグチャグチャな肉塊となった米田君が発見されたそうです。鈴木君は恐怖で衰弱してしまい直ぐに入院してしまったそうです。
「へ~、今はもう出ないんだよね」
 と、能勢さん。
 ミシッ、ミシッ、ミシッ。
 廊下から何やら不気味な足音が聞こえてくる。
「な、何? この足音」
 みんなの顔に緊張の色が浮かんだ。
「ま、まさかねえ。だって、最近はそんなことなかったんでしょ?」
「そ、そのはずなんですけど……」
 ミシッ、ミシッ、ミシッ。
 足音はドアの前で止まり、みんなが緊張した面持ちで注目する中、何者かによって勢いよくドアが開けられた。