「斎条は木工室へ回りこんで行け! それで例のボールを持ってくるんだ。あれがないと先輩達がうるせーからな」
頷くと、父は校舎の反対方向へと走り出して、木工室へ向かった。幽霊は米田君がひきつけてくれているはずなのに、教室のドアや角のところから突然出てきそうな気がして、慎重に辺りを確認しながら行動した。
それでも、ボールを取って戻ってきた時にはまだ網は落とされておらず、米田君があくびをしながら目の前の幽霊を誘導しているところだった。
「鈴木、大丈夫か?」
父は一足先に鈴木君の側に駆け寄り、幽霊と1メートルくらいしか離れないで歩く米田君を見守った。
「鈴木準備はいいか!」
米田君の言葉にビクッと鈴木君が反応した。
「鈴木?」
父は気づいた。鈴木君は恐怖と混乱で極度の緊張状態に陥っていることに。
「ま、まずい米田!」
父の言葉と同時に、天井から網が落ちてきた。
「な、うわあ!」
網は幽霊ではなく、米田君を捕らえてしまったのだ。
「ああああああ!」
鈴木君は訳のわからない悲鳴をあげながら、脱兎のごとく逃げ出していた。
「おい! 斎条! おい! 助けてくれ~!」
網に絡まったまま身動きが取れなくなってしまった米田君を助けることは出来なかった。
足の遅い幽霊は米田君に覆いかぶさるようにして襲い掛かった。
「うわあああああ!」
米田君の悲鳴が聞こえないように耳を塞ぎながら父は逃げ出した。全速力で逃げ出した。
頷くと、父は校舎の反対方向へと走り出して、木工室へ向かった。幽霊は米田君がひきつけてくれているはずなのに、教室のドアや角のところから突然出てきそうな気がして、慎重に辺りを確認しながら行動した。
それでも、ボールを取って戻ってきた時にはまだ網は落とされておらず、米田君があくびをしながら目の前の幽霊を誘導しているところだった。
「鈴木、大丈夫か?」
父は一足先に鈴木君の側に駆け寄り、幽霊と1メートルくらいしか離れないで歩く米田君を見守った。
「鈴木準備はいいか!」
米田君の言葉にビクッと鈴木君が反応した。
「鈴木?」
父は気づいた。鈴木君は恐怖と混乱で極度の緊張状態に陥っていることに。
「ま、まずい米田!」
父の言葉と同時に、天井から網が落ちてきた。
「な、うわあ!」
網は幽霊ではなく、米田君を捕らえてしまったのだ。
「ああああああ!」
鈴木君は訳のわからない悲鳴をあげながら、脱兎のごとく逃げ出していた。
「おい! 斎条! おい! 助けてくれ~!」
網に絡まったまま身動きが取れなくなってしまった米田君を助けることは出来なかった。
足の遅い幽霊は米田君に覆いかぶさるようにして襲い掛かった。
「うわあああああ!」
米田君の悲鳴が聞こえないように耳を塞ぎながら父は逃げ出した。全速力で逃げ出した。

