第11話 『徘徊する幽霊』 語り手 斎条弘子
次の話は斎条さんの番だ。
「じゃあ、私の話ですね。みなさんは学園内を徘徊する幽霊を知っていますか?」
斎条さんは両手を目の前で垂れて見せる。
みんなが黙って首を振ると、斎条さんは笑顔で話し始めた。
「昔、校舎には『徘徊する幽霊』っていうのがいました。今でも出るっていう話は聞きませんが。夜になって生徒がいなくると何処からともなく出現したそうです。そして、誰かを捕まえようと校舎内を徘徊していたみたいです」
そこで私は一つの疑問に行き当たったので、質問してみた。
「もし、捕まったら?」
「死にます」
即答だった。
「幽霊……というよりはゾンビみたいな感じなんです。動きもノロイので捕まることなんてまずないと思いますけどね」
斎条さんはひとつ咳払いをすると、話を続けた。
「これは私の父……すいません。私の父もこの学園の卒業生なんですけど……」
大ちゃんさんと能勢さんは黙って頷いた。
「これは父が実際に体験した話です」
そして話が始まった。
……昔から校舎に『徘徊する幽霊』が出ることは知られていました。いったい何故そのような幽霊が出ていたのかは知りません。噂では戦争中にこの学園のあったところは酷い爆撃を受けてたくさんの人が亡くなったそうです。そして、その人々の怒りや未練が集まって、幽霊という一つの集合体になったのではないかと言われています。供養はしたそうですが効果はなかったそうです。幽霊は当時、毎晩のように現れては校舎内を徘徊したそうです。
最初の犠牲者は当時の用務員さんでした。何者かに体を引き裂かれて、体内の臓器を引きずり出されて死んでいるのが見つかりました。それ以来、たびたびこの学園では同じような死体が見つかるようになりました。
そのうちに死体は用務員や、警備員だけではなく生徒のものまで出始めました。これは生徒の中で、面白半分、肝試し感覚で校舎に忍び込み、幽霊に捕まってしまった生徒でした。
私の父は1度だけ、夜の校舎に友人達と忍び込み、幽霊を捕らえるという計画を行ったことがあるそうです。
次の話は斎条さんの番だ。
「じゃあ、私の話ですね。みなさんは学園内を徘徊する幽霊を知っていますか?」
斎条さんは両手を目の前で垂れて見せる。
みんなが黙って首を振ると、斎条さんは笑顔で話し始めた。
「昔、校舎には『徘徊する幽霊』っていうのがいました。今でも出るっていう話は聞きませんが。夜になって生徒がいなくると何処からともなく出現したそうです。そして、誰かを捕まえようと校舎内を徘徊していたみたいです」
そこで私は一つの疑問に行き当たったので、質問してみた。
「もし、捕まったら?」
「死にます」
即答だった。
「幽霊……というよりはゾンビみたいな感じなんです。動きもノロイので捕まることなんてまずないと思いますけどね」
斎条さんはひとつ咳払いをすると、話を続けた。
「これは私の父……すいません。私の父もこの学園の卒業生なんですけど……」
大ちゃんさんと能勢さんは黙って頷いた。
「これは父が実際に体験した話です」
そして話が始まった。
……昔から校舎に『徘徊する幽霊』が出ることは知られていました。いったい何故そのような幽霊が出ていたのかは知りません。噂では戦争中にこの学園のあったところは酷い爆撃を受けてたくさんの人が亡くなったそうです。そして、その人々の怒りや未練が集まって、幽霊という一つの集合体になったのではないかと言われています。供養はしたそうですが効果はなかったそうです。幽霊は当時、毎晩のように現れては校舎内を徘徊したそうです。
最初の犠牲者は当時の用務員さんでした。何者かに体を引き裂かれて、体内の臓器を引きずり出されて死んでいるのが見つかりました。それ以来、たびたびこの学園では同じような死体が見つかるようになりました。
そのうちに死体は用務員や、警備員だけではなく生徒のものまで出始めました。これは生徒の中で、面白半分、肝試し感覚で校舎に忍び込み、幽霊に捕まってしまった生徒でした。
私の父は1度だけ、夜の校舎に友人達と忍び込み、幽霊を捕らえるという計画を行ったことがあるそうです。

