第7話 『13階段』 語り手 石田淳

 一通り回ったところで2週目めに入った。
「では、淳さん。7話目をお願いしますね」
「まかせて」
 淳さんは相変わらずもの静かで陰気な感じを漂わせている。先程の徹さんはスッパリと竹を割ったような性格だが、本当に二人は双子なのかと疑問をもってしまう。しかし、二人の似通った顔を見れば、双子であることを認めざるをえない。
「じゃあ次の話をするよ。これも比較的メジャーな話なんだけど。『13階段』っていうのは怪談の中でも本当によくある話だよね。この学園にも噂の怪談はあるんだ。
「それは体育館の地下倉庫への階段だ。あそこにはボールとか、リレーで使うバトンとかタスキとかの小道具が置かれているんだけど、この学園で13階段と言えばあそこしかないんだ。他の階段は全部15段で作られている。僕はヒマ人だよね、学園中の全ての階段を数えて上ったから間違いない」
 ニヤリと笑いながら淳さんは言った。
「でも、階段って、一番上の階の部分は段として数えるのかどうかって曖昧じゃないですか?」
 私は普段から疑問に思っていたことを尋ねた。あれが入ると13段、数えないなら12段になる筈だ。
「そうだね、そういう考えもよくあるけどね、でも数えなかったら階段の途中で終わってしまうよね。だから最後の1段を上りきって初めて13階段と思っていいんじゃないかな?」
 うまく納得させられたような気分だが、ここは黙って聞くことにした。
「じゃあ、続きを話すね」