学園怪談

「まったくマリオの奴は……漏らしやがって。あ~バッチイ」
「おお! なんだありゃ?」
 小松っちゃんの声に、俺は彼の視線の先を見た。先程は気づかなかったが部屋の様子がおかしい事がわかった。
 壁にかけられた絵という絵の全てがズタズタに切り裂かれていたのだ。
「こ、これはひどい」
「ああ……旦那様の絵が!」
 翔一と小峰さんが、あまりの惨状に声を上げた。
 部屋は荒されている訳ではなく、絵だけが純粋にズタズタにされている。
「あ、小峰さん、あれは!」
 突然シェフが声を上げ、一際大きな絵の前に落ちている物を指差した。
 駆け寄って皆で見てみると、どうやら何かのお面のようなものであることがわかった。
 その特徴的なツノ、そしてつり上がった睨みを利かせるカッと見開いた目、口は耳まで裂けんばかりの大きさをしている。
「こ、これは……般若の面だ!」
 小松っちゃんは面を拾い上げて言った。
「ということは、絵斬り般若が現れたってことか!」
 ……時計の針は12時ちょうどを指していた……。
「とりあえず戻りましょうか」
 翔一に促され、小松っちゃんがドアを開けて、一同はゲストルームへと引き返した。

「あ、おばちゃん!」
 俺たちはとりあえずゲストルームへと引き返してきた。すると、てっきり全員で来たものと思っていたが、掃除のおばちゃんだけが一人で部屋に残っていた。そして、俺たちは、彼女がテーブルの最高級クッキーをタッパーに詰めている現場を目撃した。
「あ、あらやだ私ったらホホホ……それで、犯人は見つかったんですの?」
 まったくこのババア……。
「はあ。旦那様の留守中にこのような事件が起こってしまうとは……私の一生の不覚でございます」
 がっくりと肩を落とす小峰さんを励ますように、翔一が優しい声をかける。
「小峰のせいじゃないよ。仕方ないじゃないか。後は警察に任せるしかないよ……大丈夫、お父様は大丈夫だから……」
「坊ちゃま……」