学園怪談

……ガチャリ。
部屋のドアを開けて一人の女性が小さな子どもを連れて入ってきた。
「あら、翔一さん。お友達ですか?」
「あ、う、うん。そう」
 その女性は1歳くらいの子どもを連れていた。なかなかの美人で歳は……せいぜい30歳くらいにしか見えないが、実際のところはどうかわからない。
「こんばんは」
「あ、ど、どうも始めまして」
 俺は少しドギマギしながら頭を下げた。あれ? 小松っちゃんは?
「始めまして。私、いつも翔一君とは仲良くさせていただいております」
 小松っちゃんは背筋をピッと伸ばし、白い歯を輝かせながら咥えていた赤いバラを差し出した。半そで短パン、おまけに裸足というスタイルとのギャップが悲しかった。
「まあ、ご丁寧にどうも」
「彼女は僕の……母さんです。こっちはクラスメイトの徹くん、それと……」
「お母様でしたか、それはそれは。私の事はダンディー小松とお呼び下さい」
 小松っちゃんは再び歯を光らせた。……なんだよ小松っちゃん、そのAV男優のようなネーミングは! それにさっきのバラはそこのテーブルの花瓶から1本とったな。
 女性は物腰穏やかに挨拶をすると、自分の子どもであろう幼児を呼んだ。
「この子は朝永真莉央です。さあ、挨拶は?」
「マリオ?」
 俺の頭に一瞬コインコインコインという高い音や、テテッ、テ、テテッ、テ……という電子音が響いたような気がした。
 ちっちゃな男の子は可愛く頭を下げたが、自らの意思で頭を下げたというよりも、母親の挨拶という言葉でお辞儀をしただけだ。まだ1歳のためか足取りもあやしく、喋る言葉も意味をなしていない。
そんな挨拶をすると、奥さんはマリオを連れて部屋を出て行った。
「ずいぶんと若いお母さんなんだね」
「……」
 この時、俺は翔一が何も答えずに塞ぎこんでいる事が気になった。
 ……その後またしばらく遊んでいた時、ある事件が起きた。