それを証拠に、今日の献立は鶏肉のシチュー、コンソメスープ、サーモンのマリネ、ご飯、そしてデザートに自家製アイスクリームという、そこまで豪勢な内容ではなかった。
意外にシンプルな献立が少しばかり残念でもあり、ちょっと安心でもあった。だってナイフとフォークの使う順番なんて知らんし。
普通の献立っぽいとはいえ、やっぱり金持ちだ、素材が違う。料理の過程や使っている調味料一つとっても自分の家とは全然違うのだろう。俺達は恥も外聞もなく食べ散らかし、目の前の料理に舌鼓を打った。
「羨ましいな~、こんなうまい料理とかを毎日食えるんだから」
小松っちゃんの言葉に笑顔で答える翔一だったが、その笑顔がどことなく曇って見えたのは俺の気のせいだったのかな?
……まだ帰るのも早いということで、俺達3人は食後にカードゲームをしながら遊んでいた。時間は夜の9時だ。
「いや~まいったまいった。300円も巻き上げられるとは、今月どうやって生活しろっていうんだい徹君」
小松っちゃんは賭けポーカーで負け、笑顔で俺の足を踏んできた。
「いやいやいや、最初にやろうって言ったのは小松っちゃんじゃなかったかな?」
俺は負けじと足を踏み返し、カードを再び配っていた。
「ちっ、こうなったら何かこの家の絵をパクって……」
小松っちゃんはつぶやくように言いながら、暖炉の脇に飾られた一枚の絵を見て言った。
「あの絵……なんか随分と怖い感じの絵だね」
小松っちゃんの指差した絵は、確かに部屋の、どの絵とも違うタッチの絵だった。
……真っ暗な絵の中で、真ん中に浮かび上がるように描かれた般若の面を被った人影。手に握られた包丁のようなものが妖しく光っていて、、その絵の不気味さをより引き立たせていることがわかった。
「あの絵はね、この家に古くから伝わる『絵斬り般若』なんだ。なんでもこの般若は生きていて、昔から何度も屋敷に現れては絵を切り刻んできたらしいよ」
「絵を?」
翔一は頷いた。
「ウチの家系は代々絵描きで、それで富を築いてきた。一族が絵を描く喜びを忘れ、私腹を肥やすためだけに絵を描くとき、般若は現れて絵を斬る……と言われてるんだ」
どことなく遠い目で絵を見つめる翔一を、俺は黙って見つめていた。
「般若ねえ……」
意外にシンプルな献立が少しばかり残念でもあり、ちょっと安心でもあった。だってナイフとフォークの使う順番なんて知らんし。
普通の献立っぽいとはいえ、やっぱり金持ちだ、素材が違う。料理の過程や使っている調味料一つとっても自分の家とは全然違うのだろう。俺達は恥も外聞もなく食べ散らかし、目の前の料理に舌鼓を打った。
「羨ましいな~、こんなうまい料理とかを毎日食えるんだから」
小松っちゃんの言葉に笑顔で答える翔一だったが、その笑顔がどことなく曇って見えたのは俺の気のせいだったのかな?
……まだ帰るのも早いということで、俺達3人は食後にカードゲームをしながら遊んでいた。時間は夜の9時だ。
「いや~まいったまいった。300円も巻き上げられるとは、今月どうやって生活しろっていうんだい徹君」
小松っちゃんは賭けポーカーで負け、笑顔で俺の足を踏んできた。
「いやいやいや、最初にやろうって言ったのは小松っちゃんじゃなかったかな?」
俺は負けじと足を踏み返し、カードを再び配っていた。
「ちっ、こうなったら何かこの家の絵をパクって……」
小松っちゃんはつぶやくように言いながら、暖炉の脇に飾られた一枚の絵を見て言った。
「あの絵……なんか随分と怖い感じの絵だね」
小松っちゃんの指差した絵は、確かに部屋の、どの絵とも違うタッチの絵だった。
……真っ暗な絵の中で、真ん中に浮かび上がるように描かれた般若の面を被った人影。手に握られた包丁のようなものが妖しく光っていて、、その絵の不気味さをより引き立たせていることがわかった。
「あの絵はね、この家に古くから伝わる『絵斬り般若』なんだ。なんでもこの般若は生きていて、昔から何度も屋敷に現れては絵を切り刻んできたらしいよ」
「絵を?」
翔一は頷いた。
「ウチの家系は代々絵描きで、それで富を築いてきた。一族が絵を描く喜びを忘れ、私腹を肥やすためだけに絵を描くとき、般若は現れて絵を斬る……と言われてるんだ」
どことなく遠い目で絵を見つめる翔一を、俺は黙って見つめていた。
「般若ねえ……」

