学園怪談

 ……。
 これは俺と小松っちゃんが出会った数多くの事件の中でも、最も解決の困難だった事件のうちの一つだ。今思い出すだけでも震えが起きてしまうよ。
 俺と小松っちゃんは、同じクラスの朝永翔一っていう友人とよくつるんでいるんだけど、こいつが結構なお金持ちの息子でね。家に遊びに行った事もあるんだけど、そこは本当に豪邸と言わざるを得ない凄い家だった。いるんだね~、やっぱり金持ちっていうのはさ。
 なんでも翔一の父さんってのが有名な画家らしくてね、日本のトモナガって言えば世界各国のお偉いさんがこぞって彼の新作の絵を買いにきたらしい。
 ……まあ、一般人にはとうてい買える額じゃないらしいし、俺は絵の個展なんかも興味がないから悪いけどお父さんの事は知らないけどね。
「う、うみゃい!」
 ボウルに盛られたシチューを一口食べて、小松っちゃんが奇声を上げた。
遊びに行ったある日、晩御飯をご馳走してくれるというので、俺と小松っちゃんはお言葉に甘えていた。
「おおう、本当だ、こりゃあ、かなりうまいぞ」
「ありがとう。そう言ってくれるとシェフも喜ぶよ」
 翔一は自分の事のように嬉しそうに笑った。
「坊ちゃま、おかわりはいかがなさいますか?」
「あ、もう十分だよ、ありがとう小峰。僕はいいから、小松君と徹君におかわりをお願いできる?」
「かしこまりました」
 そう言うと、初老の男は深々とお辞儀をして、俺と小松っちゃんのボウルに料理のおかわりを盛ってくれた。
「小峰さん、大盛りでお願いしますよ大盛りで」
「はいはい。たんとお召し上がり下さいませ」
 小峰さんはニコニコとした笑顔で、小松っちゃんに山盛りでシチューを盛りつけた。
 ……翔一の家は大きな屋敷でありながら使用人はそれほど多くないらしい。執事の小峰さん、シェフ、そして掃除を担当するおばちゃんが一人いるだけらしい。豪邸に住んでいる金持ちとはいえ、決して贅沢三昧をするわけではなく、あくまで一般人としての生活を大事にしているのだという。