「びょ、病院には行ったの?」
私の問いかけに対して彼は首を振った。
「いや、どうも病院って苦手でね、ウチの一家はみんな病院嫌いだからさ、だから病気しても市販の薬で治しちゃうんだ」
そして、雅兄ちゃんは腹痛、神経痛、はたまたビタミン剤など、色々な薬を飲んでいる事を教えてくれた。
「そんなに色んな薬を併用するのはダメなんじゃないの? ちゃんと病院で見てもらった方がいいよ~」
私の言葉に曖昧に頷くと、雅兄ちゃんはゆっくりと歩き去りました。
最後に見た時、雅兄ちゃんのお腹が少しだけ大きくなっていたように感じました。
……それから2週間程経ったある日。
新座学園の前を通りかかった時のことでした。
「あ、お母さん。誰か人が倒れてるよ!」
私とお母さんは買い物帰りで、学園の正門前にうつ伏せに倒れている男の人を見つけました。
「ちょっと、ちょっと大丈夫?」
ここで、私は少し奇妙な光景を目にしました。男の人は手を広げて大の字に倒れているのに、上半身が浮いているのです。腹の下にボールか何かを敷いているみたいに見えました。
「……うう、あ、ああ、あ、あ、」
男の人は母に抱き起こされるように起き上がりました。
「ひ、ひいいい!」
……男の顔を見た母が尻餅をつきました。あの時の母の驚いた顔を、私は今でも忘れられません。きっと私自身も似たような顔になっていたのではないでしょうか。
その男の顔は……緑色でした。その色は植物の葉っぱの色をしており、本物の芋虫のような虫まで顔を這っていたのです。そして、彼の腹は大きくせり出し、シャツを押し上げるその大きさは妊婦さながらの大きさでした。
明らかに異常な、異常な物体がそこにはいたのです。私は一瞬、母を連れて逃げ出すことを考えました。その時。
「ひ……弘子……」
私たちが驚愕の表情をしていると、男が喋りかけてきました。その声は私たちの良く知っていた声でした……。
私の問いかけに対して彼は首を振った。
「いや、どうも病院って苦手でね、ウチの一家はみんな病院嫌いだからさ、だから病気しても市販の薬で治しちゃうんだ」
そして、雅兄ちゃんは腹痛、神経痛、はたまたビタミン剤など、色々な薬を飲んでいる事を教えてくれた。
「そんなに色んな薬を併用するのはダメなんじゃないの? ちゃんと病院で見てもらった方がいいよ~」
私の言葉に曖昧に頷くと、雅兄ちゃんはゆっくりと歩き去りました。
最後に見た時、雅兄ちゃんのお腹が少しだけ大きくなっていたように感じました。
……それから2週間程経ったある日。
新座学園の前を通りかかった時のことでした。
「あ、お母さん。誰か人が倒れてるよ!」
私とお母さんは買い物帰りで、学園の正門前にうつ伏せに倒れている男の人を見つけました。
「ちょっと、ちょっと大丈夫?」
ここで、私は少し奇妙な光景を目にしました。男の人は手を広げて大の字に倒れているのに、上半身が浮いているのです。腹の下にボールか何かを敷いているみたいに見えました。
「……うう、あ、ああ、あ、あ、」
男の人は母に抱き起こされるように起き上がりました。
「ひ、ひいいい!」
……男の顔を見た母が尻餅をつきました。あの時の母の驚いた顔を、私は今でも忘れられません。きっと私自身も似たような顔になっていたのではないでしょうか。
その男の顔は……緑色でした。その色は植物の葉っぱの色をしており、本物の芋虫のような虫まで顔を這っていたのです。そして、彼の腹は大きくせり出し、シャツを押し上げるその大きさは妊婦さながらの大きさでした。
明らかに異常な、異常な物体がそこにはいたのです。私は一瞬、母を連れて逃げ出すことを考えました。その時。
「ひ……弘子……」
私たちが驚愕の表情をしていると、男が喋りかけてきました。その声は私たちの良く知っていた声でした……。

