<3月22日>
今日、家を学園長先生が訪ねて来た。昨夜父さんと母さんがコソコソ話しているのを聞いたので、今日の来訪を知っていた僕は、居間に隠しカメラを仕掛けておいた。そして、わざと母親に促されるまま出かけて家を空けた。
……そうか、そういう事だったのか。それで僕にあんなに優しかったのか。もう日記を書くこともなくなるかな。
さようなら。
……そんな文面で終えられた日記の横に、映像を再生する画面とボタンがついていた。
「こ、これは……もしかして仕掛けたっていうカメラの映像か?」
今まで、日記にこんな映像が添付された事はなかった。俺は一瞬のためらいの後、真実への再生ボタンをクリックした。
『……本当に助かりました。手違いがあった時はどうしようかと思いましたが、健二君が代わりになってくれるとご承諾いただけて……』
映像は居間を斜め上……戸棚か何かの上からでも撮ったのかな? そんな角度だったけど、部屋全体を映し出していて3人の男女を映していた。先程喋ったのは学園長だ。
『でも……もう一度お聞きしますが、本当なんでしょうかその話?』
遊佐の母親らしき人物は目の前に積まれた札束を手に取りながら言った。
『ええ、本当に健二さんには申し訳なく思っています。入学試験で本来合格するはずだった生徒をこちらのミスで誤って不合格にしてしまいまして。それで順番にズレが生じてしまい、健二さんの不合格が間違って合格となってしまいました』
……なんだって! ということは、遊佐は本来不合格だったってことか? 遊佐の代わりに間違って不合格になった生徒がいるっていうのか?
俺は必死に頭を整理しつつ、画面を凝視し続けた。
今日、家を学園長先生が訪ねて来た。昨夜父さんと母さんがコソコソ話しているのを聞いたので、今日の来訪を知っていた僕は、居間に隠しカメラを仕掛けておいた。そして、わざと母親に促されるまま出かけて家を空けた。
……そうか、そういう事だったのか。それで僕にあんなに優しかったのか。もう日記を書くこともなくなるかな。
さようなら。
……そんな文面で終えられた日記の横に、映像を再生する画面とボタンがついていた。
「こ、これは……もしかして仕掛けたっていうカメラの映像か?」
今まで、日記にこんな映像が添付された事はなかった。俺は一瞬のためらいの後、真実への再生ボタンをクリックした。
『……本当に助かりました。手違いがあった時はどうしようかと思いましたが、健二君が代わりになってくれるとご承諾いただけて……』
映像は居間を斜め上……戸棚か何かの上からでも撮ったのかな? そんな角度だったけど、部屋全体を映し出していて3人の男女を映していた。先程喋ったのは学園長だ。
『でも……もう一度お聞きしますが、本当なんでしょうかその話?』
遊佐の母親らしき人物は目の前に積まれた札束を手に取りながら言った。
『ええ、本当に健二さんには申し訳なく思っています。入学試験で本来合格するはずだった生徒をこちらのミスで誤って不合格にしてしまいまして。それで順番にズレが生じてしまい、健二さんの不合格が間違って合格となってしまいました』
……なんだって! ということは、遊佐は本来不合格だったってことか? 遊佐の代わりに間違って不合格になった生徒がいるっていうのか?
俺は必死に頭を整理しつつ、画面を凝視し続けた。

