学園怪談

 ……それから、別に何とはなしに、ヒマなときに彼の日記のサイトを見る事がしばしばあった。相変わらず、どうでもいい事しか書かれておらず、彼は日記とはいえ、特に不満を漏らす訳でも、何か野望みたいなものを告白するでもなく、毎日が過ぎていった。
 ……ところが、そんな、どうでもいい日記を見ていたところ、2年生の冬休み明けのある日、日記にちょっとした興味を惹くような話題が書かれた。

<1月12日>
 今日、学園長先生とすれ違った際に、「もうすぐだね、よろしく頼むよ」と言われた。いったい何の事だか分からない。普段それほど話をしないだけに今日の出来事はビックリした。僕に何を頼むというのだろう? それともまた、ただの人違いだったのかな?

「……ふ~ん。あの遊佐に声をかけるとはねえ。学園長もついにボケたかな?」
 俺はそれからも遊佐の日記をしばしば見ていた。すると……。

<1月29日>
 最近妙に両親が優しい。今までは普通に接していたのにどういうことだろう? 父さんは僕の欲しがっていたゲーム機を買ってくれたし、母さんはご飯のおかずに好きな物ばかり入れてくれる。なんでだろう、考えすぎなのかな?

「ふ~ん、妙に優しいか。親が離婚とかする前触れなんじゃないか? それで子どもに優しくしておこうとかいうことなのかな?」
 俺は冗談半分で自問していたが、妙な胸騒ぎのようなものが沸きあがってくるのも感じていた。
 日記は続く。