学園怪談

……。
「なんだかまるで、次も殺すぜ! って感じの笑いじゃないか?」
 大ちゃんさんはこの衝撃映像にも驚かずに言った。
「そうですね。これはきっとまだ事件が起こりますよ」
 淳さんも平気そうだ。
 私は目を閉じて耳を塞ぐ斎条さんの仲間入りをしたかったけれど、何故か魅入られたように画面から目を離す事が出来なかった。
……。
日付がまた飛んだ。今度は3日ほど飛んで、整った女の子らしい部屋の映像に切り替わった。そして、目の前には今まで出てこなかったハスキーボイスの女性が映し出されていた。
「みんなアイツラが悪いの。アイツラが私の勇治に色目を使ったりするから……」
 ハスキーボイスは奮え、涙を流しながらポツリポツリと話し続ける。
「私はピエロにお願いした。アイツラ、智子と和希を殺してくれるようにと……そして願いは叶った。私のノロイは終わった。そして、ピエロはきっと私を殺すだろう。でも殺す喜びを知ったピエロは止まらない。また誰かを殺し続ける、お願い誰かピエロを止めて!」
 そこまでの話の後、真っ暗な映像が一瞬流れ、そして……ベッドで横になったハスキーボイスの女性の上で、血に染まった包丁を手にしたピエロ人形がいた。女性は虚ろな瞳で虚空を見つめたまま絶命していた。
 ピエロの頭が小刻みに上下していた。笑っているのだ。『次いってみよう!』というくらいの軽いノリなのだ。そして、ピタリと笑いが止まった。
 グルリ。
 ピエロの首だけが回った。回った首はビデオカメラの画面を正面から見つめている。
……その瞳がこちらを見つめているようで、思わず私は目を逸らしてしまった。
そして、ピエロは体もこちらに向き直ると、カクカクと手足を揺らしながらカメラに近づいてきた……。
……。