学園怪談

彼は魅入られたようにその本を手に取っていた……。
 それは見慣れない文字で怪しげな材料名や図形が書かれており、たどたどしい手書きの和訳から死者を生き返らせる方法の書かれたものであることがわかった。
「これで……これで美由紀に会える!」
 それから博人は本の読解に入り、儀式に必要なものを集め始めた。
 ……死者を生き返らせる方法が本当にあったら凄いよね。こんな古本屋なんかの本に書いてあることなんて普通なら信用しないよね。でも博人は信じた。その本にすがってでも恋人の美由紀に会いたかったんだね。
 そして、苦労しつつも材料を揃え、あとは儀式の夜……新月の夜を待つばかりになった。
「明日だ。いよいよ明日の夜に、美由紀を蘇生させることが出来る」
 博人は興奮してなかなか寝付けなかったが、浅い眠りの中で夢を見た。
 ……。
「美由紀! 美由紀! もうすぐやっと会えるよ」
 でも、彼の言葉に美由紀は背中を向けたまま悲しげな声で答えた。
「博人、ダメだよ。私は死んだんだからダメ。自然の理を曲げては恐ろしいことが起こるわ。このまま私を放っておいて」
「やめてくれ! そんなこと言わないでくれ! 俺は何としてもお前に会いたいんだ! お前のこと愛しているんだ!」
「……博人……」
 ……。
 そこで目が覚めた。いつのまにか涙を流しており、空を掴むかのように手を前に突き出していた。
「待ってろよ美由紀」
 ……新月の夜。博人は学園に忍び込んでいた。
 魔術書と道具を持ち、誰にも邪魔されない学園の理科室へと来ていた。
 学園内は静寂に包まれ、まるでこの世から全ての生命が消えたかのようだった。漆黒の闇の中で、儀式は始まった……。
「……サムファタ……イーレク」
 たどたどしい呪文で博人は儀式を進めた。部屋の中央に大きく描かれてた魔法陣。並べて立てられたロウソクの炎が雰囲気を一層に盛り立てる。中央には大きな布が置かれ、その下には苦労して手に入れた彼女の髪の毛を置いた。