ーーコンコン。
「蒼、具合のほうはどう?」
「まだ、少し体がきついけど朝よりかはマシだよ」
「それなら良かった」
あれから、何度も寝て身体を休めるとだいぶ症状が和らいだ。
喉や頭の痛み、咳もだいぶ治まってきている。
熱も37.5度まで下がった。
それに今日は、お母さんはスーパーの仕事をお休みにしたらしく私の看病をしてくれた。
度々、様子を見に来てくれて、新しい冷却シートに貼り替えてもらったり、お昼にはお母さん手製の雑炊を食べた。
久しぶりに食べたお母さんの手料理は、とても美味しくて懐かしい味で、思わず涙が出そうになった。
そんなこんなで気づけば、時計の針は16時を過ぎていた。
「蒼、もうすぐ仕事に行くけど、1人になるけど大丈夫?」
唯一、飲食店の仕事は人手が足りずこれから行かなければならないという。
「う、うん。大丈夫だよ」
「蒼が大丈夫ならいいんだけど‥‥‥もし、なにかあった時が心配だわ。蒼が倒れたりなんてしたら」
ーーピンポーン。
そこで、家の呼び鈴が鳴った。
「こんな時間に誰だろう? ちょっと、見てくるね」とお母さんは玄関へと向かった。