桜の花びらが降る頃、きみに恋をする


そんな私の様子が可笑しかったのか陽向くんはクスリと笑ってこう言った。

「なーんて、冗談だよ」

ガーン……。

さっきの言葉はなし!

優しいなんてなし!

こんなにも意地悪だ!

「もう、陽向くんのバカ! そんな冗談は良くないよ!」

心臓に悪すぎる。

「ごめんごめん!」

両手を合わせて必死に謝るその姿は、なんだか可愛く見えてしまってつい許してしまった。

「仲良いんですね。ラッピング出来ましたよ」

店員さんの言葉で、再びかっと熱くなるのを感じた。

店員さんは、私たちのことまだカップルだと思っているのかな。

「ありがとうございます」

陽向くんは、そのことには触れず物を受け取った。

お店を出る頃には、すっかりいつもの優しい陽向くんに戻ってて少し安心する。

「はい、蒼。俺からのプレゼント」

渡してくれたのは、赤いリボンで可愛くラッピングされた袋。

中には、陽向くんが買ってくれたヘアピンが入っている。

「陽向くん、ありがとう! とっても大事に使うね」

お礼を伝えると、陽向くんはくしゃりと笑った。

その笑顔、いつ見てもかっこいいな。