桜の花びらが降る頃、きみに恋をする


「そちらの彼女さんにプレゼントですか?」

会計時、そう店員さんに尋ねられ「はい、そうです」と笑顔で答える陽向くん。

彼女じゃないのに‥‥‥!

「じゃあ、可愛くラッピングしますね」

「お願いします」

2人は、うまく話を進めていく。

レジの奥に行ってラッピングしてくれてる店員さんに聞こえないよう、隣にいる陽向くんに小声で話しかけた。

「ねぇ、ちょっと、陽向くん? か、彼女って‥‥‥」

ゆっくりと見上げると、陽向くんはニヤリと笑った。

「別にいいんじゃない?」

「えっ?」

別にいいって、なにが?

そう思った次の瞬間、陽向くんの顔がぐっと近づき、耳元にかかる吐息。

陽向くんとほぼゼロ距離に近くて、思わず胸がドキリとする。

私だけ聞こえるように陽向くんは囁いた。

「周りから見れば、デートしてるように見えるんだし、俺の彼女ということでいいんじゃない?」

い、今、なんて⁉︎

とんでもないワードがでてきた気がする。

“デート”に、それに‥‥‥。

“俺の彼女ということで”

ってことは陽向くんの彼女⁉︎

「‥‥‥っ!」

いきなりの告白で顔が一気に真っ赤になったのが自分でも分かる。

こんなにもイケメンで優しい人からこんなこと言われたら心臓がもたない!

今にも、心臓が飛び出しそうなほどバクバクいってる!