桜の花びらが降る頃、きみに恋をする


「あっ! この色とかはどう?」

陽向くんが私に渡してくれたのは、ピンクと水色の組み合わせのヘアピン。

「いいね! 可愛い!」

「水色は蒼の好きな色かなと思って。よく水色の小物とか持ってるから」

「見てくれていたの?」

と聞くと、陽向くんはこくりと頷く。

確かに私は、水色の小物が多い。

筆箱もシャーペンの柄も水色。

ちなみに、今日の服装も水色に近いライトブルー。

陽向くんは気づいていたんだ。

なんだか嬉しいな。

「じゃあ、ピンクは?」

「女の子らしくて、蒼に似合うんじゃないかって」

「ふふっ。ありがとう」

女の子扱いしてくれて、またもや嬉しい。

「陽向くん、ちょっと待ってて。払ってくるから」

「あっ。待って、蒼」

「えっ?」

「俺が払うよ」

「えっ! いいよ〜! そんな」

「今日、付き合ってくれたお礼に買わせてよ」

「べ、別にお礼だなんていいのに‥‥‥って、あっ!」

手に持っていたヘアピンをひょいと取って陽向くんはレジへと向かう。

私は、慌ててあとを追いかけた。

ほんと、いいのに‥‥‥。