桜の花びらが降る頃、きみに恋をする


「い、今、なんて?」

陽向くんの口から“可愛い”との発言が聞こえて思わず聞き返すと、華麗にスルーされてしまった。

「それより、蒼もしてみる?」

「へっ?」

なんのことか分からなくて思わず変な声が出た。

そんな私の目の前に陽向くんが向けたそれは‥‥‥。

「猫じゃらし。これ、めっちゃ楽しいよ」

一瞬、猫カフェに来ていることを忘れてしまっていた。

「私もしたい!」

「どうぞ」

「ありがとう」

陽向くんから猫じゃらしを借りて、猫たちの目の前に振ってみる。

猫じゃらしの向きを変える度、猫たちはみんな息がぴったりで可愛すぎる!

「蒼、とっても上手!」

隣では、陽向くんが褒めてくれて、それがなんだか嬉しくてたくさん笑顔が溢れた。