桜の花びらが降る頃、きみに恋をする


「あっ、そうだ! 写真、いっぱい撮っちゃおう」

スマホを取り出して、可愛い猫たちの姿をカメラに収める。

「猫ちゃん、こっち向いて」

ボールで遊んでいる子猫を正面から撮りたいのに、動き回っていてなかなか撮るのが難しい。

「あ、あともう少し‥‥‥って、なんでそっち行っちゃうの‥‥‥」

猫は気まぐれって言うけれど、本当にその通りでここのところスルーされまくり。

「蒼、こういう時は、必殺猫じゃらし!」

陽向くんは、店員さんに借りてきたのか手には猫じゃらしを持っていた。

「おーい、猫ちゃん。こっちだよ」

陽向くんが猫じゃらしでおびき寄せると、徐々に猫たちが興味を持ったのか近づいてきた。

「おっ、来たきた。ってか、いっぱい来た!」

陽向くんって、女子だけじゃなく動物にも好かれるタイプだ。

「蒼、今、撮り放題だよ」

「ほんとだ! いっぱい撮ろうっと!」

猫じゃらしの向きによって、右を向いたり左を向いたりする子猫たち。

みんな息があっていて、とても可愛すぎる!

何枚も写真や動画を撮る。

ふいに横を見ると、楽しそうに猫と戯れる陽向くんの姿。

なんだか可愛いな。

あっ、そうだ!

バレないように1枚だけ。

ーーカシャッ。