桜の花びらが降る頃、きみに恋をする


その日の放課後。

隣にいた蒼は帰り支度を終え、美菜のところへと向かっていく。

その入れ違いに琉輝がやってきた。

「陽向、蒼ちゃんに話してもいい? 昔、出会ってること。このまま、誤解されたままでいたくないから」

今は、俺と蒼を繋ぎ合わせてくれる方法は琉輝しかいない。

俺は、ゆっくりと頷いた。

「その代わり、詳しくは言わないで。蒼には俺の口から直接言いたいから」

「分かった。じゃあ、さっそく蒼ちゃんに伝えてみる」

蒼の元に行く琉輝の背中を見送った。

昔、出会ってるなんて知ったところで蒼がどう思うか分からないけど、今は琉輝に託すしかない。