「蒼?」

ふと、陽向が私を見た。

私がすぐに返事をしなかったから、不思議そうな目で見ている。

なのに、大好きな陽向からの視線に恥ずかしくなって、私は反射的に逸らしてしまった。

……だめだ。

陽向を目の前にすると、胸が速いぐらいバクバクしてる。

「もしかして、嫌だった?」

そんな彼の声が聞こえて、再び陽向の方へ顔を向けるとなんだか自分を責めているような顔をしていた。

「本当のこと言うと、休日の日でも蒼に会いたくて誘ったんだけど、もしかして困らせてしまった?」

彼の言葉に“困っていない”というふうにブルブルと頭を横に振ってみせる。

「蒼?」

「わ、私……」

言うのは恥ずかしいけど、どうしても伝えたい。

「私も陽向に会いたい」

学校の日だけじゃなく、休日でも理由を作って私に会おうとしてくれた陽向。

それがどんなに嬉しくて、それに応えたいと思う。

恐る恐る陽向を見ると、少し照れながらも嬉しそうに笑った。

「ありがと。じゃあ、行くの決定でいい?」

「うん」

休日、陽向との約束。

今から待ち遠しい。

朝から嬉しいことがあって心が浮かれてしまう。