薄暗くなった夜に、街灯が辺りを照らす。
時折、歩道橋の下を車が通るのが見える。
静かでなんだか切なさが増す。
もう少し‥‥‥。
あともう少しで、楽しかった夏休みが終わる。
せっかく、たくさんいい思い出できたのに。
「蒼、どうした?」
なんで、陽向はこういう時、私の変化にすぐ気づいてくれるんだろう?
「‥‥‥終わって欲しくない。ずっと、このままいれたらいいのに」
できれば、陽向の隣に。
今もこうして、陽向とずっと手を繋いでいたい。
「俺もだよ」
その言葉に驚いて顔を上げると、陽向はにこっと笑みを私に向けてくれた。
ドクンドクン‥‥‥。
今にでも心臓が飛び出してしまいそう。
「あっ、始まるよ」
陽向の声と同時に花火が打ち上がる音がした。
ヒュ〜、ドーーン!
大きな音とともに、色とりどりの花火が暗闇を明るく照らす。
次から次へと打ち上がっては、息を呑むほど煌めく花火。
「とっても綺麗!」
「凄く綺麗だね」
横を見ると、陽向は私に気づいたのか微笑んでくれた。
胸がうるさいぐらい高鳴る。
ほんとに、今日はずっとドキドキしっぱなし。
ーー『浴衣も髪型も凄く似合ってる! それに、そのヘアピンつけてくれて嬉しいよ』
陽向のその言葉に凄く嬉しくなって。
ーー『蒼、俺の傍から離れないで』
はぐれないように手を繋いでくれて。
花火を見つめる陽向の横顔がとってもかっこよくて。
私、自分の気持ちがやっと分かった。
“陽向に恋をしてるんだ”って。