先輩の真剣さに中途半端で返すわけにはいかないよね。

わたしも真剣に考えたい。


先輩に追いつきたい。


だから、先輩には申し訳ないけど、少し待っててほしい。



「いいよ。いくらでも待つから」

「すみません、ありがとうございます」

「じゃあな」


先輩は撫でていた頭をぽんとしてから、すぐに絡めていた手も離して手を振って背を向けた。

そんな先輩の後ろ姿を見えなくなるまで見送る。


その間もずっとドキドキは止まらなくて、先輩と繋いでいた手のぬくもりが消えていくことが寂しく感じた。


さっきの真剣な先輩の表情と言葉を思い出す。


夜になっても、ドキドキも熱もおさまらなくて、なかなか眠りにつけなかった。