戸惑うわたしの顔を先輩が覗き込んでくる。
「優乃?」
「あ、はい。ちょっと驚いてしまって……」
「人混みだとしんどいだろ?」
「いえ、そんなことはないですよ」
スタッフの人は笑顔でわたしたちに手を振ってくれるけど、なんだか恥ずかしさが増す。
夢の国ではなく、現実みたいだよ。
アトラクションもわたしたちだけしかいないから動いていなくて静かだし。
音楽だけが響くテーマパーク……。
「絶叫のアトラクションに乗って響く叫び声や、笑い声が聞こえてわくわくしたりしますし。待ち時間にはたくさんおしゃべりをするんです」
「いま、楽しくない?」
「そんなことはないですけど、なんだか寂しいですね…?」
「そうか」
「あ、いや。先輩が一緒で、わたしが行きたいって言ったから貸し切ってくれた気持ちはすごく嬉しいです!なので……」
「ちょっと待ってろ」
そう言った先輩はポケットからスマホを取り出してどこかに電話をかける。
じっと見つめていると、短く一言。
「いますぐ人を入れろ」
それだけ言うとスマホをしまう。



