悩んでいるうちに本鈴が鳴って、授業が始まる。
「あの、伊月くん……?」
「あ?」
「えと……授業中なんですけど、その……」
「なんだよ」
「いや、スマホは……」
「チッ。出る」
英語の女教師。
今年来た40代くらいの教師だけど、おれのこと知らねぇのかよ。
気分わりぃ。
いまは授業よりも大事なことしてんだよ。
「伊月くんっ」
女教師の言葉を背に教室を出る。
とりあえずひとりでゆっくりできるところを探す。
天気もいいし、中庭でも行くか。
場所を決めて、目的地に向かって歩く。
……あれ?
中庭に出てすぐに、後ろ姿からかわいい女を見つける。
「優乃」
「え?あ、伊月先輩!?」
「なんでここにいるんだ?」
「わたしは生物の授業で虫探しです」
「そんなことすんのか」
「はい。たまには楽しい授業をって先生が」
虫探しって楽しいのか?
優乃みたいに天使でお姫様みたいな女は、虫とか泥とかのイメージがないけど。



