「……ちょっと出てくる」
「え?もうすぐ1限始まるぞ」
七海の戸惑ったような声を背に歩き出す。
クラスは初めて会った時にもらったメモに書いてあるから頭に入ってる。
1年3組の教室に向かって廊下を歩く。
周りがざわついて道を開けるのはいつものこと。
開かれたところを堂々と歩き、優乃のクラスに入った。
「きゃー!!」
「伊月要センパイだ!!」
「初めて見た」
「顔良すぎ……」
騒がしくなった教室でただ一人、おれを見ていない女をすぐに見つけることができた。
集中して何かに取り組んでいる様子。
気づかないことにむっとするけど、一生懸命な横顔はきれいすぎて女神だ。
許す。むしろそんなおれにすぐに気づかないところもかわいいとすら思う。
サイドの髪を耳にかける仕草を見ることができて、心臓が大きく動いた。
けど、その向かいには男がいてイラっとしてすぐに近づく。
「優乃」
「え?あ、伊月先輩!おはようございます!」
顔を上げた優乃がやわらかく微笑む。
優乃が笑ったら周りに花が咲いた気がする。
名前の通りだな。
優乃は本当に花のように可憐だ。



