案外いけるかもしれない。

こんなにいっぱいなのにこぼれてない。


わたし、すごいかも。

慣れてきて鼻歌なんか歌えちゃうくらい余裕が出てきた。



「待ってって!!」

「しつけぇ」

「っあ……」



いい感じにこぼさずに歩いていたけど、突然目の前に人影が現れてぶつかってしまった。


ずっと見ていたコップの飲み物はどちらも空。


や、やってしまった……!!


いっきに血の気が引いていき、視線を少し上げれば濡れて色が濃くなっているブレザー。



「ごごご、ごめんなさい…!大丈夫ですか?」


あわあわしながらすぐに尋ねる。

大丈夫ですか?って聞いちゃったけど、普通に考えて大丈夫なわけないよね。


思いっきりかけてしまった。

どうしよう……。


焦って泣きそうになるけど、泣いている場合ではない。