それから、ゆっくりと顔を上げた女を見て息をするのも忘れた。

時間が止まって、周りの音も全て聞こえなくなる。


これは、夢か?

目の前に天使がいる。


そんなわけないのはわかってるけど、本当に天使が現れたかと思った。

透き通るような白くてきれいな肌に、艶やかな髪には天使のリングができている。


間違いなく天使だろ。

大きな丸めがちの瞳は吸い込まれそうなほどに無垢な色で、目を逸らすことができない。


ブレザーなんてどうでもいいのに、そのことばかり気にしている。

いままでそんな女を見たことがなかった。


連絡先も身分証みたいな感じで渡されただけ。


心臓が意味わかんないくらいに音を立てている。

全身に血が巡り熱い。


なんだ、この感覚は……。


それからその女は男と一緒にファミレスを出て行った。

それには少し心臓のあたりがざわっとした。


なんだこれ。

と思っていたけど、つぎの日に教室まで来てくれたその女、花咲優乃にまた気分が上がった。