不思議に思って首を傾げれば、伊月先輩は顔をぐいっと近づけてきた。


「優乃はおれのこと、そう思ってる?」

「はい!わたしがジュースかけちゃったり、洗濯を失敗しちゃっても優しい言葉をかけて笑って許してくれました」


普通は少しでも嫌な顔しちゃうよ。

わたしでもジュースかけられたり、しわ寄ったブレザー見たらびっくりするもん。



「怒るどころかパニックになるわたしを落ち着かせるように、優しい声で優しい笑顔で……。本当に素敵な先輩だなって思いました!」

「…………」

「あ!わたしの失敗を怒られなくてよかったって感じじゃないですよ!!でも、そんなふうに思いますよね…?そうじゃなくて……」

「思わない」

「え?」



真剣な瞳にとらえられて、思わずドキッとした。

まっすぐできれいな瞳は吸い込まれそうなほど強い。



「そうだ。お詫びの品で、購買でおやついっぱい買ったんです。もらってください」


ビニール袋を差し出すけど、視線はわたしに向けたまま。