そんなのわたしだって……。
「……寂しくないように見えますか?」
要くんの服をきゅっと握る。
こんなに離れがたいのに、それを出してもいいの?
「……悪い。でも、優乃も同じでうれしい」
「要様、そろそろ……」
運転手さんが申し訳なさそうに声をかけてきた。
要くんは夜から用事があるから、夜に間に合うようにこの時間に帰って来た。
わかってる。
わかってるけど……。
「……要くんが悪いです。この手をまだ、離したくない……」
まだ離れたくない。
一緒にいたい。
わがままなのはわかってる。
でも、あと少しだけでいいから……。
「10秒、でいいのでこのまま……」
「3分待って。遅れる場合は親父におれから言う」
運転手さんにそれだけ言うとわたしの手をとり歩きだす。
驚いて要くんを呼ぶけど、止まることはなくマンションの陰の死角になっている場所へ移動した。



