車で30分もかからないところで開催される花火大会。
同じように花火大会に向かっているであろう人が、歩道を浴衣姿で歩いている。
こうやって花火大会に来るのは初めてだな。
ホテルの部屋から見たことはあったけど、そこまで興味なかったし。
「わたし、いちご飴が好きなんです。毎年買ってるんですよ」
「そっか」
車の中でもしっかりと繋がれた手をぎゅっとして、おれに話しかけてくる優乃。
いちご飴、買い占めるか……?
「ベビーカステラもおいしいですし、雪みたいにふわふわのかき氷も大好きです。屋台の食べ物ってなんであんなにおいしく感じるんですかね」
優乃もテンションが上がっているのがわかる。
かわいいなぁと見ながら、優乃の話を聞いていると車が停車した。
「すみません、混んでいて」
「ここでいい。もう近いし歩いていく」
「はい。歩きます。ありがとうございます」
「迎えはまた呼ぶ」
「かしこまりました」



