いきなり立ち上がった翔ちゃんは要くんの胸倉をつかんで無理やり立たせた。
びっくりしたせいで涙は引っ込んで、わたしも立ち上がる。
「お前になにがわかんだよ。ずっとそばにいて、ほかの男が寄らねぇように牽制しまくって。なのにいきなり出てきたお前が簡単に奪っていった。俺の気持ちがお前にわかるかよ」
「わかんねぇよ。お前だって全然わかってないだろ。回りくどいことばっかしやがって、捻くれてんじゃねぇよ」
「黙れ。幼なじみがどれだけ窮屈で遠いかわかんねぇだろ」
「だからわかんねぇって言ってんだろ」
ふたりの言い合いに戸惑ってどうすればいいかわからない。
だけど、いまはとてもじゃないけど入っていけるような空気じゃなかった。
「優乃にぶつけろよ。結局お前はずっと逃げてたんだよ」
「簡単に優乃と付き合ったお前にはわかるわけねぇよ」
「は?簡単なわけねぇだろ。さっきからおれのことも知らねぇで勝手に言うな」



